生体リズムには1日周期のほかに、1週間周期のものもありますから、週単位で睡眠の過不足をなくすことは、自然の摂理にかなっていますよね。
しかし、休日の朝起きる時刻が平日と2時間以上違うと、体内時計が狂ってしまって、【ブルーマンデー】の原因になりかねないので、注意が必要です。
最近では、「通勤通学以外の移動」、「趣味・娯楽・学習・スポーツ」、「身の回りの用事」に使われる時間が増加しています。
この3つを合わせると、過去30年間で、男性の場合で42分、女性の場合は62分の増加となっています。
「通勤通学以外の移動」というのは、旅行やレジャーでの移動のことですから、現代日本人は、趣味や娯楽、スポーツ、人との付き合いなど、仕事や家事以外で自分がしたいことをするために、睡眠時間を犠牲にしているわけです。
睡眠時間を削り続けている日本人ですが、現在の眠りに満足できているでしょうか?日本睡眠学会の調査では、日本人の半分以上が、睡眠に何らかの不満を持っていることがわかります。
また、よく眠れている人の中にも、睡眠の質に不満を持つ人がかなりいるようです。
睡眠の満足度を年齢別に見た調査もあります。男女とも年齢が増すにつれて、睡眠に対する満足度が低下していきます。
男性では、緩やかに同じ傾きで低下します。
女性では、40歳代までは男性とほぼ同じパターンとなりますが、50歳を境に急激に不満が増加します。
この男女による違いは、更年期前後の女性ホルモンの急激な減少によるものではないか、と考えられています。
また、就寝前にネットやテレビなどのメディアを長時間利用する人ほど、寝不足を訴える割合が高いことがわかりました。
メディアの利用が、睡眠時間に与える影響はわずかですが、ディスプレイ画面の光のちらつきが、それを見ている人の覚醒レベルを下げてしまい、寝付きが悪くなったり熟睡しにくくなったりして、睡眠の質が悪くなるようです。
人が眠っている間には、レム睡眠とノンレム睡眠が繰り返されます。レム睡眠は体が休んで筋肉が緩むので、「ぐったり眠っている状態」であり、ノンレム睡眠中は脳が休んでいるので、「ぐっすり眠っている状態」です。
脳にとってノンレム睡眠は疲労を回復する眠りで、レム睡眠は休息と目覚めを橋渡しする眠りともいえます。
休息中の脳の中では、老化の原因の1つである過酸化物質の分解が盛んに行われます。
つまり睡眠は、脳の解毒を行って、脳細胞が死なないようにしている時間でもあるのです。また、睡眠は記憶の面でも、重要な働きをしています。試験の前日に徹夜で勉強しても、思ったほど良い成績はとれません。記憶とその再生には、睡眠が欠かせないからです。
眠っている間に、新しい事柄を脳の記憶装置に書き込んだり、記憶の保存場所にアクセスしやすいように、神経細胞のネットワークを最適化したりしています。
先程も少しふれたように、睡眠には2種類あります。
脳が休む睡眠である「ノンレム睡眠」と体が休む睡眠である「レム睡眠」です。
ノンレム睡眠は眼球が動いていない状態、レム睡眠は眼球が急速に動いている状態です。
もう少し詳しく説明すると、レム睡眠とは、体が眠っているにもかかわらず、脳は活動している状態にある睡眠です。
筋肉は弛緩状態にあって急速眼球運動のほかは体はほとんど動きません。
外見的には眠っているにもかかわらず、脳は覚醒状態にあるのです。
夢を見ている状態の多くは、脳が活動しているレム睡眠のときです。睡眠自体は浅いのですが、体は休息している状態です。
記憶を定着する、ストレス処理をするなどの大切な役割があります。
それに対して、文字通り急速眼球運動がない、脳が休んでいる状態がノンレム睡眠です。
このとき体の筋肉の緊張は保たれています。副交感神経が優位で心拍数も低い状態です。
人間の脳は体重の約5%の重さですが、基礎代謝は20%もあり、それだけエネルギーを使うのです。つまり、起きているときは、脳はそれだけ働いているわけです。
ノンレム睡眠とレム睡眠は1セットで、ほぼ90分周期で交代で出現します。起床までにノンレム睡眠・レム睡眠のセットが4~5回繰り返されます。
レム睡眠は進化の上では、ノンレム睡眠よりも古い睡眠と考えられています。
実際、魚などは眠っている状態のときはレム睡眠なんですね。
ノンレム睡眠は脳の進化にともなって、脳を休めないといけないという必要性から発達してきた睡眠なのです。
ノンレム睡眠は【脳を休める睡眠】と覚えておいてくださいね。
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