薬剤師はもちろん、患者でもご存知のフロモックス。
代表的な抗生物質の一つとして大変人気のある薬で、様々な症状で使われていますよねー。
しかし、身近に効果を感じたという方を聞いた事がありますか?
これは、フロモックスに限らず抗生物質全般に言える事なのですが、人間には産まれてから自然治癒力が備わっているので、なかなか顕著な効果については感じにくいのではないかとは思います。
実は今回、フロモックスは効かないのではないかという話がありました。
一体なぜそのような結論になってしまったのか?今回はその根拠から考えられる事を記事にしていきたいと思います。
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初めにフロモックスの適応症についてですが、先程も述べた通り既に色々な場面で処方されています。
確かに、添付文書を見ると膀胱炎や咽頭炎から皮膚感染まで物凄く幅広い適応があるのがわかります。
しかし、これは全ての薬に当てはまる事ですが、適応があるからと言ってすぐに何でもかんでも使うと言うのは極めて安易であり、もう少し薬物動態まで掘り下げてみる必要もあるのではないかと思います。
次に、別の視点からフロモックスの効果を見てみましょう。
①常在菌を殺してしまう
ご存知の通り、フロモックスは第三世代のセフェム系に属する薬物です。
これらのグループはグラム陰性桿菌に強い事がわかっており、逆にグラム陽性球菌が関与する感染症に対してはほぼ効果がないのです。
特にフロモックスについては、グラム陰性桿菌の中でも大腸菌に対して優れた効果を発揮しやすい事が知られています。
皆さんは「腸内フローラ」という言葉をご存知でしょうか?
腸の中にいる大腸菌や乳酸菌などの常在菌の事で、最近ではCMでも耳にするようになりましたよね。
つまり、フロモックスは腸内の常在菌を殺し腸内フローラの環境を乱した結果、悪玉菌と戦う力がなくなってしまい免疫力の低下に繋がってしまうのです。
だから、よくビオフェルミンRとセットで処方されており、皆さんも一度は必ず見た事があるかと思います。
②吸収率が悪い
そしてもう一つ、フロモックスは吸収率が非常に悪いという大きな欠点があります。
セフェム系以外の抗生物質は体に吸収される率が高く70%位あるのに対して、フロモックスを含むいわゆるセフェム系抗生物質はなんと服用量の約30%しかないと言われているのです。
つまり、フロモックスを服用しても血液に吸収されて効果を発揮する為には、相当の量を飲まなければならないという事なのです!
この結果を皆さんはどう思いましたか?
小児科について言えば、仮に小児薬用量を超えて出ていても、それ程気にする事ではないんだ!と思ってしまいますよね。
この二つの大きな欠点を繋いで考えてみると、まずフロモックスは体にほとんど吸収されずに大腸まで届いてしまいます。
すると、大腸に住んでいる善玉菌を積極的に殺してしまうのです。
つまり、先程小児薬用量を気にすることはないのでは?という疑問が生じましたが、結局量を増やした所で免疫力の低下に繋がったり、下痢や便秘を引き起こしたりと問題が生じてしまうのです。
なんだか、こうして考えてみるとめちゃくちゃ使いづらい薬になってしまいましたよねー。
フロモックスは様々な適応があるのにも関わらず、実は案外使いづらい事がわかりました。
では、一体どんな使い方をするのが正しいのでしょうか?
私の個人的な見解になりますが、ピンポイントの症状で言えば、恐らくグラム陰性桿菌が関与している膀胱炎が最適なのではないかと思います。(とはいえ、重度の場合ではニューキノロン系の方が勝率は高いとは思いますが…)
それ以外の症状では、残念ながら気休め程度であり、それ以上の効果は期待できないと思います。
ただ、膀胱炎だけしか使い道がないという訳ではありません。
基本的に他の抗生物質は人によって合う合わないが多く、場合によってはアレルギー反応が出る時もあるのです。
そんな時の二次選択としてもフロモックスは最適なのです。
そもそも、どちらかと言えばファーストチョイスとして使う事自体が間違っているのかもしれません。
よって、適応範囲が広く副作用も少ないというだけで、安易にフロモックスのみを使用している医者を見ると少し心配になります。
フロモックスは日本でこそ大変人気のある薬ですが、実は海外を見渡すとそれ程フロモックスを使っていないのです。確かに抗生物質は非常に奥が深く、なかなかそれに精通している医者も薬剤師もまだまだ少ないかと思いますが、逆に使いこなせたならば強力な武器に化ける薬なのです。
その為にもまずは、医者はともかく、薬剤師が医者に提案できる様にしていく事が必要なのではないかと思います。
そして、医者も余計なプライドを捨てて、そんな薬剤師の意見を素直に聞く事ができたら、結果的に患者の満足度も得られると思いますし、最終的には医療の発展に繋がると思います。
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