最近うつ病患者による車の事故が相次いでいます。
昨年、萩原流行さんがうつ病による交通事故で亡くなりました。萩原さんはそれまでにも4回も事故を起こしていたそうです。
また、今年の5月も神戸市の三宮駅前で向精神薬服用中のうつ病を患った方が突然暴走し、5人が重軽傷を負うという事件がありました。
このように、うつ病患者は予期せぬ事故を突然引き起こしてしまう傾向があります。
それにも関わらず運転してしまうのは、一体何故なのでしょうか?またそれを防ぐ為にはどうしたらいいのでしょうか?
今回はうつ病と車の運転について考えてみたいと思います。
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実際、うつ病と車の運転が法律で規制されている事をご存知でしょうか?
いずれも平成26年より施行されていますが、自動車運転死傷行為処罰法と改正道路交通法により取り締まっています。
しかし、これらは全てのうつ病患者に該当するというわけではありません。
うつ病患者の中でも、精神運動が制止されていて明らかに判断力に重大な障害があると医師が判断した患者に対してだけが該当するのです。
意外とそのような該当患者は限られています。
またその法律も緩く曖昧な表現であって、例えば同じうつ病患者でも医師Aの診断によると車の運転は可能だが、医師Bの診断によると運転は不可能と言うような事も起こり得るのです。
恐らく今回の神戸市の事故でも、運転手の車の運転は医師によって認められていたものと思われます。
さらに、この法律には最も重要な落とし穴があるのです。
それは、これらの法律はあくまでうつ病患者の症状から判断される内容であって、うつ病患者が服用している薬の副作用から判断されているわけではないという事です。
ということは、薬の副作用については法律で規制されているのではなく医師の判断のみで決められているのです。ここがポイントです!
では、このような事故を繰り返さない為にも、うつ病患者=運転免許取上げという考えが生まれますよね。
確かに「そもそも精神障害者の運転って何となく不安」と思われる事でしょう。
しかしそれで運転免許を取り上げるというのは医学的根拠も乏しいため、精神障害者に対して不当に差別・制限している事になりかねません。
また、そうする事で軽度のうつ病患者も車を使えなくなってしまい、仕事にも影響を及ぼしていきます。
そして、万一仕事を辞めなければならないとなったら、余計にうつ病が悪化する可能性も高まってしまいます。
それに、まじめに通院して診断を明確にわかって治療している人が免許取り上げられて損をし、きちんと通院せずに曖昧な診断になっている人が取り上げられる事なく得をしてしまうというのも変な話になってしまいますよね。
そんなこんなで、日本精神神経学会もうつ病患者に対し法律で規制をする事を強く反対しており、診断結果がうつ病と決定したからといって運転を禁止するというのは今のところ厳しそうです。
だからといって、このような事故を引き起こしてしまった以上このまま黙っておくのも正しいとは思えません。
今回の神戸での事故でも、たまたま死者は出なかったものの、何人もの人が被害を受けているのです!
その時の運転手の状態は、ろれつが回らず焦点も合っていなかったので、恐らく意識ももうろうとしていた事と思われます。
では皆さん、果たしてこの症状は本当にうつ病からきたものと思えますか?私は抗うつ剤や向精神薬などの薬の影響も十分にあり得るのではないかと思います。
もしそうだとしたら、先程のポイントの所で考えると今の法律の規制では何の意味も持たなくなるのです。
確かに先程のように症状だけで運転規制をするのは困難だとしても、私はせめて眠気のような副作用のある精神系の薬を服用中の患者に対しては、車の運転免許を取り上げてもいいのではないかと思います。
薬を飲まなければならないという事は軽度のうつ病ではないと思います。
むしろ、症状が軽度ならば無理に薬を処方する必要もないと思うのです。
また、これらの抗うつ剤や向精神薬等眠気の副作用のある薬の添付文書を読むと、運転に対して注意書きはあっても禁忌とは書いてないのです!私としては今すぐにでも運転は禁忌にすべきだと思います!
でも、本音を言うとそれ以上に最も大切なのは、患者ひとりひとりが医師の判断全てを鵜呑みにするのではなく、飲酒運転をするのと同じだという意識をもっとしっかり持つ事ではないでしょうか。
萩原さんの事故にしろ神戸の事故にしろ、もし薬によるものだとしたらそれは飲酒運転や危険ドラッグによる運転と一緒と言っても過言ではないと思うのです。
事故を引き起こして被害者に迷惑をかければ責任を問われるのは結局医師ではなく自分自身なのです。
飲むなら乗るな!乗るなら飲むな!という有名な飲酒運転のキャッチフレーズがありますが、アルコールだけではなく今回のような精神系の薬に対しても同じように本人がしっかりと自覚を持って欲しいと切実に思いました。