先日、医薬品メーカーのMSD、医薬品卸のアルフレッサ、ロボット技術のエアロセンスの3社が提携して、無人飛行機ドローンによる医薬品配送事業を近い将来行なっていく事を発表しました。発案はMSDで、このプロジェクトの最大の目的は、災害時の被災地への緊急配送と離島や遠隔地への配送との事です。その他にも人件費削減にも繋がりそうですね。
厚生労働省がOTC医薬品のネット販売をあれほど強く反対してきたのにも関わらず、まぁなんとも斬新なアイデアです!
また昨年末にも、千葉市で高層マンションに処方箋薬やOTCの要指導医薬品を2020年までに配達が実現できるようにする事を発表していました。具体的にいうと、自宅にいる患者と医師がテレビ電話で遠隔診察をします。そこで発行された処方箋を薬剤師が調剤しテレビ電話で遠隔服薬指導を行った後、ドローンを目的地へプログラミングし配達するという流れです。現在、既に飛行の実験も行われているそうです。
私は、amazon等通信販売系の物流業界で普及すると思ってましたが、まさか医療業界にドローンが導入されるなんて想像もつきませんでした。
今回は、そのドローンを使った医薬品配送についての問題点を探っていこうと思います。
続きを読む前に応援クリックして頂けるとうれしいです!
最もよくありえそうな話です。昨年、首相官邸の屋上にて、墜落したドローンが発見されたのを始め、最近頻繁に墜落のニュースが流れていました。
日本国内でも1万機以上普及されているものの、少なくとも100件以上の墜落事故が発生しているそうです。
原因は、操縦者の知識と技術が不足している時がほとんどなのだそうです。
先程の千葉市のプロジェクトについて考えると、操縦者は薬局にあたります。
薬局の操縦ミスにより墜落するという事は、目的地に確実に薬を届ける事ができなかった事を意味する訳で、それは結局調剤過誤と同様のミスと言っても過言ではないのでしょうか。
よって薬局がドローンを扱う為の資格を取得する必要性は、今の所リスクとベネフィットを天秤にかけた場合、リスクの方が大きいかなと思ってしまいます。
薬の配送とは命に繋がる大事な事だと思うので、この問題はかなりシビアになると思います。
現在ドローンの技術がどのくらいまで進んでいるかはわかりませんが、一体どのくらいの重量まで運ぶことができるのでしょうか?
エンシュアリキッド等の経腸栄養剤や湿布などは嵩が高く、重量も結構ある医薬品です。
仮に、それだけは人員で運ぶとするならば、ドローンを使う意味がなくなってしまいますよね。
規制がかかっている向精神薬・麻薬等は鍵のかかる所で厳重に薬剤師が保管しています。
納品伝票も別にして保管していますよね。
なのに、医薬品の配送だけ機械に丸投げするというのは、非常に軽率な行動ではないかと私は思います。
場合によってはハッキング等によりそのドローンを乗っ取って向精神薬を奪う危険性もあり得るのではないかと思います。
例えば注射剤のような「凍結を避けて2〜8℃で保存する」場合の品質を確保できる保証はあるのでしょうか。
また、飛行途中に雨が降ってしまった時の対策は整っているのでしょうか。
もし患者宅に到着した時に「注射剤が凍結していました」「薬が濡れていました」となったら、やはりこれも薬の管理ができていない訳であって調剤過誤と同様になりますよねー。
いずれの場合にせよ、飛行中の梱包状況をしっかり見守らない限り不安が残るのではないでしょうか。
これもかなりの確率であり得そうな話ですよね。
薬を受け取った際の患者の一部負担金の支払いをどの時点で行うかが問題です。
これは病院側にも同じ事ですが、仮に先払い制度にしたとしても、患者に手間がかかる為そんなにいい案とは言えませんよね。
これは、直接人と人の受け渡しをしない限り、支払ったトラブルが発生する可能性は十分にあると思います。
昨年12月にいよいよドローン規制が開始されましたが、医薬品という厳密に扱わなければならないものに関しては、今すぐに始めるには難しい状況ではないかと思います。
ドローンは今後、物流業界以外でも農業で農薬を撒いたり、2020年東京オリンピック等のスポーツ撮影に大きく貢献していく可能性を秘めています。
しかし逆に、ホワイトハウス敷地内に墜落したり、首相官邸の屋上に墜落したりする事件の例から悪用してテロの一環に使われたり、小型カメラ機能搭載で空撮によるプライバシーの侵害だって引き起こす可能性も十分に秘めている訳です。
悪用と事故がなく「品質を保持したまま薬を届ける」という事が確実にできてこそ医薬品の配送が可能になるのではないかと思います。私的には、タケコプターこそが医薬品配送には最適ではないかと思うのですが、皆さんはいかがでしょうか。