先月3月28日に第101回薬剤師国家試験の合格発表がありました。もう101回目ですよー!私も年をとりました~。
企業では、かフレッシュな新薬剤師が誕生している事と思います。
さて、毎年恒例となっていますが、合格発表と同時に大学別の合格率ランキングが公開されますよねー。
しかし、昔からこの合格率にはカラクリがあり、実は受験者数÷合格者数で算出されています。分母が出願者数ではないのです。
これはどういう事かというと、願書の受付は1月中旬までとなっています。
先に願書を提出し、その後の卒試を行って、初めて国試を受ける権利を得る人と留年する人の仕分けをするのです。
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実際、出願者数と受験者数には差があり、大学によってはかなりの差がある所も存在します。そこに、疑問を感じた厚生労働省がメスを入れて、昨年2015年より出願者数も公表する事になりました。
それにも関わらず、興味深い結果を出したのが昨年1位を記録した某K大学でした。結果は以下の通りです。
出願者数119名、受験者数61名、合格者数57名
もうおわかりかと思いますが、一部は他の理由もあるかもしれませんが、卒試で約半数を留年させたのだと思います。これで一気に某K大学のメッキが剥がれてしまいました。では、今年はどうなったのか見ていきたいと思います。
今回の合格率は全体で76.85%となり、過去最高の合格者数でした。昨年と比べると約13%アップしたそうです。
本当に学生の皆さんよく頑張りました。
そして、合格率のトップは某I大学で98.67%だったそうです!素晴らしい!しかも、現役だけでみたら100%だったそうです!
こうなると、某I大学はHPにも「国試合格率100%全国一位」を掲げて大きな宣伝効果となるでしょう。
受験生からみたら一目置くようになるのではないでしょうか。
では、次にメッキが剥がれてしまった某K大学のように出願者数から見てみましょう。
なっ!なんとっ!受験者数と一緒ではありませんか〜!
これはどういう事だと思いますか〜?実は単純な事です。
国家試験を出願する前に卒試を前倒しをして国試を出願させなければいいのです。
これで出願者数対策はバッチリという事になります。
まさにイタチごっこですよねー。
でも考えてみてください。
卒試の前倒しをするには最低でも12月中には行なわなければならないのです。
卒試で引っかかった学生はその後3カ月は途方にくれる事になるのでしょうか?
薬科大学はどんどん増加し今は飽和状態です。
そうなると大学側は学生を増やす為に、高い合格率を叩きだし、低い偏差値で入学させるようになります。
つまり、現役学生が留年しようが途方にくれようが、もはや知ったこっちゃないんです。
むしろ、大学側からしたら、学費をまた一年間支払って頂けるのでまさに一石二鳥と言えるのではないでしょうか。
命に関わる仕事に就くという事は、それにふさわしい知識が必要とは思うので厳しくなるのは理解できます。
しかし、この現状は、厳しさというより大学側のビジネスにしか感じないのは私だけでしょうか?本当にこれでいいのでしょうか。果たしてこんなデータに何の意味があるのでしょうか。
では、いい大学を見つける為にはどこを見たらよいのでしょうか?
先程、卒試の前倒しの話をしました。結局、卒試で留年=6年生の在籍人数という事になります。
恐らく今年のトップの某I大学のHPで6年生の在籍人数を確認すれば他の学年と比べて圧倒的に多いと思います。
今後、大学を選ぶ際は偏差値・合格率・出願者数、そして、6年生の在籍人数を見て総合的に判断する必要があります。
とはいっても、来年はまた大学側も考えてくるかもしれませんが。。。
今年も大学別ランキングで、もやもや感が残る形になりましたが、国家試験は無事に終了し新薬剤師が誕生しました。
大変だったと思いますが改めておめでとうございます。
今回の合格率競争は多少なりとも、どこの薬科大学でも意識している事だと思います。
しかし、「合格率を上げるためには手段を選ばない」とまでいくと少し問題があると思います。
わざわざ6年制にまでなった薬科大学の本来の目的とは何だったのでしょうか?
薬剤師になる為に必要な知識を与え、実務を経験させて国家試験合格に向けて育てていく事を忘れてしまっているのかもしれません。
無作為に留年させて合格率を上げるというのは、留年した学生に対しては放棄しているし、これから大学を受けようと考えている受験生やその保護者に対しては詐欺行為ともとれるのではないでしょうか。
もし、全ての6年生が国試を受けたらどんな結果になったでしょうか。恐らく全く違う結果が出ていたでしょう。
でも、それが真の合格率だと思います。
まだまだ、薬剤師という仕事は将来なりたい仕事ランキングでも上位にあがっています。
そんな未来の卵たちに失望されないよう大学側は合格率について見直して欲しいと私は思いました。