さあ、今回から藤原ナオヤの毒舌ブログから少し趣向を変えまして薬剤師を取り巻くニュースをタイムリーに紹介する「藤原ナオヤのクローズアップ薬剤師」をお届けします。今までは月1~2回程度の更新でしたが、今回からは週2回くらいを目安に薬剤師関連のニュース記事を取り上げたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
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第1回目は「日本老年薬学会を設立、多職種連携を促すー地域包括ケアと薬剤師の役割」ですね。
高齢者に対する適切な薬物治療の実践を目的として、日本老年薬学会が設立されました。
近年、日本の人口は、減少の一途を辿っており、また、人口に占める高 齢者の割合も4分の1を越えています。このことを考えれば、薬剤師がこれまでの業務だけに対応していたのでは、本当に患者さんのニーズに応えているとはいえないのが現状なのかもしれませんね。
今後、ますます増えていく高齢者のことを考えれば、現時点で何らかの対策を打っておく必要性がありそうです。
しかし、本当にこの学会は必要なんでしょうか?
これまでの薬学領域の学会には、例えば、日本薬学会や日本薬剤師会などがあります。そこに新たに日本老年薬学会なるものを設立し、別個に高齢化について検討していく必要性が果たしてどの程度あるのか疑問が残ります。
近年の日本薬学会や日本薬剤師会の年会を見ても、高齢化に対する発表は多岐にわたっていることが分かりますよね。つまり薬剤師は高齢化に対し、真摯に向き合い、そのための対策をどうすればいいか、そして、そのために、実務レベルでどこまで対応可能かについて検討してきたことが伺えます。
そもそも薬剤師には何を求められているのか?
まず、薬の適切な使用方法等の情報提供、つまり服薬指導があります。さらにそれに伴う調剤業務、さらには、お 薬手帳などによる服薬管理などがあげられます。
医薬分離が本格化して、薬剤師は地域に根差し、これまでも高齢化に対し、真摯に向き合ってきました。
そし て、改めて薬剤師の業務は何かを地域の方々に理解していただいたところではないでしょうか?それをこの学会を機に薬剤師が高齢者介護の領域にまで踏み込む となると、例えばこれまで、介護福祉士など介護の専門家が担ってきた業務の一部を薬剤師が負担するという時代もくるかもしれませんね。
もちろん、薬剤師が介護をすることが悪いというのではないです。むしろ、薬剤師に限らず、医師、歯科医師など地域医療に関係するすべての人が介護の知識だけでなく、実際に介護活動が出来るようにしておくべきでしょう。
つまり、そもそもの薬学教育において、介護実習なるものを入れることにより、医療を担っていくことは介護も含まれているということを明確化することの方が 大切であるのではないでしょうか?その上で、この学会を設立し、専門的にやっていくというのであれば、多いに歓迎するところですね。
そこで問題になってくるのが、今でも薬剤師業務を多忙であり、介護の領域にまで手が回らないということです。
今でも薬剤師は不足気味で、通常の 業務だけでも手一杯です。在宅医療における服薬指導はいまや当たり前のように行われており、それに、介護領域まで求められるとなると果たして対応可能かどうか疑問が残ります。
さらに、お薬手帳の普及に伴い、薬歴管理業務を行っており、すべてデータにて管理されているとはいえ、その業務も多忙な業務のひとつとなっています。
また、病院薬剤師と薬局薬剤師の連携も必要であり、介護領域にまで業務が広がるとなるとさらにその連携に係る業務の幅が広がり、さらなる 忙しさとなることが想定されます。
つまり、これまでよりも各医療従事者間の高度な連携が求められるということです。また、多忙になった際にありがちな責任のなすりつけをなくしていくためにはどうすればいいかをこの学会設立を機に決めていければ、真の地域医療が出来上がるのではないでしょうか?
どんな制度や機関もすべては利用者様つまり患者さんのためにならなければ意味がありません。そのためには、それに携わる人が責任をもって対応し、その専門性をフルに発揮して、お互いが信頼しあえる環境を作っていかなければならないでしょう。
日本老年薬学会が真に地域医療のために活躍するためには、「どうすれば患者さんが安心して医療を利用出来るか」を考えていく必要がありそうですね。