神戸市北区に勤務している薬剤師が、2012年1月から7月の間に勤務先の降圧剤113箱、金額で550万円相当を東京の現金問屋に転売して、売却代金を横領した疑いで逮捕されました。
実際は2006年から7年間に渡って同様の手口で数千万円を横領した様ですね。
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実はこの「薬の横流し」って結構あるんですよ。
身近に聞いたことがない薬剤師の方もいらっしゃる方も多いかと思いますが、かなりの件数が全国であると思います。
過去のブログ記事で現金問屋について書いたことありますけど、現金問屋からセールスFAXが薬局によく来てると思いません?
でも、あれどうやって薬を仕入れてるんだろう?と・・・・。
参考記事:現金問屋を利用した岩波薬局の所得隠し
まあ今回の様な横流しの盗品が現金問屋にとっての仕入先のひとつですね。真面目な話。
だから結構ある話なんです。
僕も過去に3回勤務している薬局でありましたよ。
皆さんもチェーン店にお勤めでしたら、「○○店のスタッフが何やらやらかして懲戒解雇になったらしよ~」という話を聞いたことがあるかもしれません。
だいたいにおいて、それはこの「薬の横流し」か「セクハラ」が原因です。
余談ですが、今回、把握された113箱で550万円相当の薬って、推測ですけどノルバスク5mg錠ですかね?(苦笑)
薬価と流動性の高い(換金しやすい)医薬品という条件から推察するに、ノルバスクなんじゃないかと・・。
ノルバスク5mg薬価54.5円*1000錠×113箱×(1-値引き分)=だいたい550万円みたいな・・・。
まあ、でも2006年から7年間もよくバレずに数千万円も横領できましたよね~。
犯人の薬剤師(実名報道されてます)の良心はとっくになくなっていたと思いますが、
会社側も気づかなかったんでしょうか。
と言うのは、どんなに小さな会社でも年1度は棚卸をします。
でないと、税務申告できないので。
棚卸でカウントした在庫数が実在庫。
これとは別に期首在庫数に仕入れ数と投薬した出庫数を差し引きして出した在庫数が理論在庫。
通常は実在庫と理論在庫は一致するはずです。
これで何万錠も不足があったはずなんですよね~。
在庫数にそれぞれの薬価(あるいは仕入れ値)を掛けて総在庫金額を出すんですが、通常は理論在庫金額と実在庫金額が1%以上ずれていたら、再棚卸になり原因追究を行うことになります。
ただ、伝票入力を行わず入庫数を在庫管理システムに反映していない薬局の場合は、実在庫をそのまま会計に用います。
だから発覚しなかった可能性もあります。
大手では伝票入力を行わない会社はないので、ここは小規模チェーン以下の規模でしょうね。
あるいは、自分が責任者なので棚卸の数に自分がパクった分の数量だけ足しておくとか・・。
でもこれも、自分が退職なり、転勤すればすぐに発覚してしまいます。
しかし、いくら店長をやってとは言え、短期間にノルバスク5mg(推測ですよ)が半年間に113箱も納品された計算になりますから
他のスタッフも月にノルバスク5mg1000錠入が20箱も来たらおかしくねぇ?と思いますよね?
そもそも置く場所ねぇ~よ!!(笑)
スタッフならだいたい自分の薬局の薬品使用量を肌感覚でわかってると思いますし、1品目の薬剤を月2万錠も消化する薬局なんて日本中探しても滅多にないんじゃないですかね~。
MSや担当MRも実績見て、おかしな薬局だとは思わなかったんですかね~。
もっと不思議なのは薬局経営者です。
どれだけスタッフの目が節穴で、システムに不備があっても経営者の通帳(キャッシュ)は誤魔化せないんです。
「キャッシュは嘘をつかない」
つまり、誰も気づかなくて、卸さんからの請求書は当然来て、その分の請求分は口座からどんどん引き下ろされます。
薬局の最終利益ってそんなに大きくないので、年間数百万単位の現金が最終利益からどんどん引き落とされたら必ずいつかはキャッシュがショートします。
気づくと思うんですけどね~。1日に処方せん200枚くらい来る薬局で最終利益もどんどん内部留保してる薬局だったのかな~?
途中の様々な経過はあっても、ルックスルーで見ると、会社の通帳からパクった分の薬の仕入れ代金分が毎月抜き取られている状態なんですよ。
ひょっとしたら店舗ごとに通帳を作らず、数店舗まとめて通帳1冊でレジ金とレセプト振込と卸の支払い管理していたから、現金もショートせずに何年も経過してしまったんでしょうか。
7年間、自分の財布からお金抜き取られて気づかなかった経営もなかなかですね。
内部監査も機能してなかったんでしょうね。
まともな顧問税理士なら絶対気づくはずなんですけどね。何のための税理士なんでしょうか・・。
もっと言えば、この横領事件の発覚は税務調査だったのかもしれませんね。
税務署に指摘されて、「あれっ!?おかしい!」と気づいた。
この横流しをもし経営者自身が行っていれば、脱税になりますから、税務署は必ず重点的にチェックするところなんです。
薬を仕入れて、経費計上して利益を圧縮。過剰な在庫を現金問屋に売って換金。簿外へ。
こんな感じです。
あるいは、現金問屋の方に税務調査が入って、仕入先として対面調査が行われ、たまたま事態が発覚したか・・。
今度、どこの薬局だったのか卸さんに聞いてみよ~っと!!
しかし、手癖の悪い人がいるものですね。
今回逮捕された薬剤師の方は厚生労働省の薬剤師名簿で犯人しか同姓同名がいないので、バレバレです。
人生棒にふっちゃいましたね。
今日はたわいもないお話でした。