今回は調剤補助(無資格調剤)の是非について、僕の思うところを書いてみました。
いつも通り法律的にどうとかを厳密に論じるブログではありません。いつもの通り、少年ジャンプを読む感覚で軽~く読んで頂けたら幸いです。
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いつも思うのですが、調剤補助(無資格調剤)の是非を考える前に、そもそも『調剤』って何なんでしょうか?
辞書的な意味としては、「調剤(ちょうざい)とは、医師・歯科医師・獣医師から発行された処方箋に基づき、医薬品を交付すること」ということになります。
さらに突っ込むと、医師、歯科医師の処方が医学的に妥当であるかの判断(処方監査)、医薬品の相互作用や重複投与の防止、患者への充実した服薬指導、患者の薬剤服用歴・指導 内容の記録と管理、副作用の予防や早期発見と対策、後発医薬品の選択、未知副作用の発見など、医薬品が関わる多様な業務全てを含めたものが(広義の)調剤 とされている。(wikipediaより抜粋)
と言うわけで、本来の『調剤』とは、処方せん受付から、レセコン入力、処方解析、剤集め(狭義の調剤)、監査、投薬、薬歴処理などを含めたものである様です。
僕たち現場の薬剤師が一般に調剤と呼ぶ業務とは、「剤集め(ピッキング)」、「一包化」、「水剤調剤」、「散薬調剤」ではないでしょうか?
おそらく、薬剤師の読者の方で異論のある方はいないと思います。
つまり、「広義の調剤」と剤集めに代表される「狭義の調剤」とは基本的に分けて考える必要があると思います。
「そもそも、調剤って何?」、「現場で使用されるいわゆる調剤の意味は?」で調剤という仕事の定義を見たところで、「調剤補助」は違法かどうかを考えてみたいと思います。
すなわち、「剤集め」を指す「狭義の調剤」を、薬剤師の資格のない事務員などが行うことが、違法かどうか?あるいは倫理的に問題があるかどうか?ですね。
結論から言うと、僕は問題ないんじゃないかと考えています。
というのは、前述したように「調剤補助」≠「無資格調剤」だからです。
法律で禁止されている「無資格調剤」の調剤とは、広義の調剤を指しているんじゃないかと・・。(間違ってたらゴメンなさい)
つまり、薬剤師でない人間が、処方せんを受け取って、「狭義の調剤」を行い、監査して、投薬を行う。
そういうことじゃないですかね?
最初に無資格調剤の事例をひとつ示しましょう。
過去に高知県の調剤薬局で実際にあった話なんですが、全く薬剤師でない女性が薬局で調剤、監査、投薬を行っていたそうです。もちろん逮捕・書類送検されたと記憶しています。当然、彼女が関わった保険請求分は全額返金させられたそうです。
本人は「私は学校の教員免許を持っているから問題ない!」と訳のわからない言い訳をしていたそうです。(笑)
一方、「調剤補助」とは「狭義の調剤」を指していて、あくまで「広義の調剤」の中の一部分の作業を薬剤師の指示の下、薬剤師でない人間に補助的に手伝ってもらうことで、実は法律的にも倫理的にも問題ないんじゃないかと・・・。
仮に薬剤師が直接手を下さない「狭義の調剤」が違法だと仮定します。
すると、自動分包機やATCはどうでしょうか?
今時、薬包紙で錠剤や散薬をネチネチ手折りで分包してる薬剤師っていないですよね?あれは機械が調剤しているですよね?
じゃあ調剤補助になるんじゃないか?機械は薬剤師免許持ってないから・・。(笑)
「いやいや、あれは機械が調剤しているけど操作は薬剤師が行っているので、薬剤師が行っているのと同じことだ!」と仰る方もいるかもしれません。
では、薬剤師が薬剤師以外の事務スタッフに「この薬集めて下さい」と指示を出して調剤してもらうのと同じではないでしょうか?同じ作業をやる上で機械と人間の違いは意志があるかないかの違いだけでしょう?
僕は別に詭弁を弄しているわけではありませんよ。
薬剤師以外の人間に指示を出すのと、機械に指示(入力)するのとどこが違うんだろうかとマジメに考えてるんです。
では、百歩譲って、機械は薬剤師の指示(入力)通り間違えないけど、人間は薬剤師の指示を間違えるかもしれないから異なるという強引な理由で、機械と人間の行う調剤補助が別物だと仮定しましょう。
それじゃあ、レセコン入力が調剤機器に連動して自動調剤を行うタイプの薬局はどうでしょうか?
つまりレセコンで処方入力したら、その情報が自動錠剤払い出し機、水剤調剤、散剤調剤、自動分包(ATC)まで指示が飛んで、自動調剤が行われる薬局です。
これだけ自動化されてる調剤薬局は間違いなくレセコン入力は事務スタッフが行っているでしょう。ということは、処方せんを受け取って「狭義の調剤」から監査までのどこにも薬剤師が介在していないことになります。つまり、事務員の指示(入力)で調剤機器を動かして調剤していることになります。
今までの話の流れを踏襲すると、当然、こりゃ完全に「クロ」でしょう。監査以前の作業のどこにも薬剤師が関与してませんから・・・。
こういった薬局は普通にあります。
ところが、こういったケースは法律的にもお役所的にも全くの「シロ」として扱われるでしょうね。
あれれ?おかしいな?
事務員の指示(入力)で<機械>が調剤するのはOKで、薬剤師が指示を出して、薬剤師以外の<人間>に調剤を手伝わせるのはダメ?
完全に論理矛盾を生じてますよね?
以上、述べてきたように、もし僕が論理矛盾を生じさせない結論を出すとしたら、まず「調剤補助」と「無資格調剤」をしっかり区別する。
「広義の調剤」を薬剤師以外の人間が行うことは完全に違法行為である。これを「無資格調剤」と定義する。
「狭義の調剤」を薬剤師の監督の下、薬剤師以外の人間に行わせるのは、合法。そしてこれを「調剤補助」と定義する。
これですっきりするんじゃないでしょうか?
論理的にも正しいですし、納得して頂けるんじゃないかと・・・・。
法律を作った人も僕が考えているのと同様な意味で、調剤は薬剤師の独占業務。無資格調剤は禁止と謳ったのではないかと思います。「狭義の調剤=調剤補助」を禁止してはいないのではないでしょうか?
あ、でも、これ、あくまで僕の個人的な考えですよ。
次回は、各業態における調剤補助の実態と僕からの提言をコラムにします。⇒「調剤補助(無資格調剤)の是非その2」を読む