僕は法人化する前の個人事業主の時代を含めると、30代前半にはサラリーマンをやめました。
ですので、サラリーマンをやめて久しいです。お給料をもらう立場から、お給料を払う立場になったわけですが、昔から薬剤師という職能に対して、サラリーマンならこれくらいの年収が理想的だな~と思う、一つの具体的な数字(金額)があります。
僕は元々、理系の頭ではなく、直感で物事を解釈、判断するタイプですので今回はこの金額を提示した根拠や明確な数字はありません。
あくまで、直感的にこれくらいがリーズナブル(経済合理性がある)だなと感じています。それは・・・。
正確には65歳で引退するときに900万円から1000万円の間の年収をもらって、退職金2000万円くらいもらって引退。
こんな感じが理想だなと思ってます。
あの~、たとえば『物の値段』って原価があるじゃないですか~?
材料費+加工賃+光熱費+人件費+etcですかね。
それでそれに適正な利潤(マージン)を乗せて、値段がつく。
人間というか、職業の値段もそうだと思うんです。
1、学歴(難易度+努力)+2、資格(参入障壁、希少性)
言い換えると、自分の人生へ投資した時間と労力。さらに言えばやりたくないことを自制心を持って自発的に我慢してやり抜いた結果生み出されたものでしょうか・・・。
まずは、コスト1、学歴(難易度+努力)から解説します。
最近はFランク大学なる偏差値の低い大学もあるそうですね。
薬学部も乱立した上に、6年制になり人気が低下、ますます入学の難易度は下がってるみたいですね。
まあ、僕の時代の話ですが、二流私立大学と言えども薬学部に入学するのは結構難しいかったわけです。学部を変更すれば、上位の有名私立大学や地方の国立大学だったら簡単に入学できました。
まして旧帝国大学の薬学部に入学できるレベルの人は、地方の国立大学医学部に行ける時代でした。
まあ、それくらいのレベルだったわけです。
入学後の勉強が厳しいのもご存知の通り。僕は4年制の時代ですが、薬学部の留年率は相当ですよね?
大学によりますが、4年で卒業できる人は75%くらいじゃないですかね?それもみんなまじめに勉強して、その数字という実感です。
だいたい、文系ですと1年生が一番忙しくて、学年があがるごとに楽になっていく。文系で留年する人は間違いなく遊びすぎ。
薬学部だと1年が一番楽(といっても文系と同じかそれ以上にキツイ)で学年があがるごとに厳しくなります。2年生で本格的に実験・実習もありますし、専門科目が増えて3年生への進級で留年生が続々と出て、4年生は研究室配属と実験の毎日、年が明けたら卒論と終わったら国試対策。
4年間まったくと言っていいほど、遊ぶ時間がありません。
それくらい薬学部はしごかれるわけです。
日本では人生最後のモラトリアム!?といわれる楽しい大学生生活を犠牲にして皆さんは薬剤師になりました。
まあ、今の薬学部乱立による入試レベルの低下を考慮しなければ、だいたい薬学部入学と卒業というものは、学部を考えずネームバリューのある大学へ入学して、薬学部並みに4年間勉強して卒業したら、かなりいい大学の成績優秀な生徒になるんではないかと・・・。必然的に一流企業への就職が決まり、まあ、社内で順当に行けば退職直前には年収1000万円くらいにはなるんじゃないかという試算になります。
薬局経営していて、薬剤師の募集をかけると何回かに1回は
「今、薬剤師の免許もってないんですが、働きながら必ず取得しますので雇ってもらえませんか?」という問い合わせがあります。
一応僕も「あ、そうですか~、ちなみにどちらの大学の薬学部卒業されたんですか?」と聞きます。
そうすると先方は
「えっ?大学で薬学勉強してないとダメさんですか?国家試験に合格するだけじゃダメなんですか?」と・・・。
たぶんユーキャンで薬剤師の免許が取れると誤解されてるんだと思います。
意外と薬剤師の資格って認知度が低いんだな~と、ガッカリ(苦笑)。
世の中に資格は数多くありますが、受験資格が大学の専門課程(学士号)を前提としている資格は、医師、歯科医師、薬剤師、獣医師くらいじゃないでしょうか・・・。
よく、合格率だけみて、80%だったりすると、
「なんだ~、100人受けたら80人も合格するの?しかもマークシート方式?宅建より簡単じゃん!」と激しく誤解している方をみかけます。(笑)
まあ、薬剤師国家試験の受験資格を得るために、大学受験で薬学部に入って、中でコッテリ絞られて、膨大な時間とお金を投資して、さらに国試より難しい(笑)卒試をクリアできた連中の中での合格率だということですね。
ところで、薬剤師と同じ系列の資格として医師があります。
こちらは大学受験で医学部入学自体が非常に難しいですね。
僕らの時代は私立大学に穴場の医学部(偏差値の低い)がありましたが、今は薬学部と逆で私立でもレベルの低い穴場大学がなくなりました。しかも私立の場合は学費が尋常じゃなく高く、親御さんが普通のサラリーマンでは手が出ません。
で、医師は卒業してからも給与面で厳しい状態が続きます。
しかしまあ、民間の病院へ行けば30代半ば以降には年収1500万円から1800万円くらいになります。
勤務医ではそのあたり、せいぜい2000万円が頭打ちなのですが、それでもスゴいですよね?
同じ医療職の医師の年収との比較からも薬剤師は医師の年収には及ばずとも今の年収より相当高い年収であっても不思議じゃないですね。
僕の認識では現状の薬剤師の平均年収は500万円強。
せいぜい700万円止まりで、そこまで行けない人の方が大多数。
いくらなんでも安すぎるというのが実感です。
ですので、薬剤師の限定された職能であっても、定年間際の65歳くらいには年収900万円~1000万円に達するというのが理想だと思います。
これくらいの年収なら職業人とそて、誇りをもって職務に臨めますよね?
ということで、あくまで僕の直感的な視点で薬剤師のあるべき理想的な年収というものを弾き出してみました。
次回は、逆に積み上げ方式ではなく、実際の経営からいくらくらいならペイするか?(給料を払うことが可能か?)という経営者の視点に立って薬剤師の年収を割り出してみたいと思います。
乞うご期待!!
関連コラム:薬剤師辞めたい(その1)、薬剤師辞めたい(その2)