まあ、前回の2014年度診療報酬改定に思うこと(その1)に引き続いて(その2)なんですけども・・・・。左の写真の意味は後半に。
やっぱり、薬剤師服用歴管理指導料の中のお薬手帳に関わる所。これが、今回、調剤薬局の経営をしていて最も引っかかるところですね。
薬剤師服用歴管理指導料について、お薬手帳を必ずしも必要としない患者に対し特例を新設する。さらっと、改定案を抜粋。
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【薬剤師服用歴管理指導料】
(処方せんの受付1回につき)41点
〔算定用件〕
注 患者に対して、次に掲げる指導等のすべてを行った場合に算定する。ただし、次に掲げるハを除くすべての指導等を行った場合は、所定点数にかかわらず、処方せんの受付1回につき○点を算定する。
イ~ハ 略
ハ 調剤日、投薬に係る薬剤師の名称、用法、用量その他服用に際して注意すべき事項を手帳に記載すること。
ニ~ホ 略
要は、お薬手帳が要らない人はその分、ディスカウントしますよ!ってことですね。このままの案が採用されれば、またまた現場は余計な手間が増えて、大混乱。
患者さんからは、「お薬手帳いりません!!」の大合唱。
中途半端な節約術を取り上げたTV番組にも取り上げられそうです。詳細な点数がまだ未定ですし、この案が確定するかも不明ですが・・・。僕の意見を少し。
世の中は時代と共に変わっていくので、ある程度変化に対応した施策というものが必要だと思うんです。だから、ある程度の仕組みや制度の修正は必要。
この医療という世界では、ここ数十年で大きな変化が2つありました。
たった2つです。その他はこの二つから派生したものです。
ひとつは医薬分業。
もうひとつは、高齢化に伴う医療財政の悪化(と言うか破綻)
医薬分業は日本の遅れた医療モデルを先進国の医療モデルに構造改革する政策(能動的変化)でした。
医療財政の悪化はデモグラフィー(人口動態)などから、ある程度予測のできる事象(受動的変化)でしたし、この先も同様です。
だから、医療制度をつくる側としては、何も予測不可能な事態が起きたことはなく、すべては想定内に出来事だったと思います。
ただ、その2つの大きな変化と、そこから派生する比較的小さな変化に対応するために『仕組み』の多少の修正は必要でした。
仕組み自体は本来、しょっちゅう修正する必要はないし、少なくとも向こう数十年に渡って機能し続けるものを本来『仕組み』と言うべきなんです。
ところがどうですか?2年に1回もコロコロ仕組みを修正して・・・。しかもどう考えても、毎回思いつきで名前を付けたり、点数や定義を変えてみたりと・・・。
お薬手帳なんか相当昔から存在してますよね?今の時代はクラウド化という技術革新がありますけど、それでもお薬手帳の本質的価値機能は全く紙媒体のお薬手帳と同じです。
つまり、「経時的に患者の服用履歴、患者固有のアレルギーや副作用歴を参照できる外部リソース」が、僕のお薬手帳の定義です。
ここ何十年もその定義は変わっていないのに、2年に1回の改定で「あーでもない、こーでもない。これとあれを足して、そこを引いてみたいに」といじくりまくってる。
お薬手帳だけではないですよね?調剤薬局の中の業務に関して、いじくりすぎ。悪名高い「特別指導加算」(トクシ)なんて、結局最後まで定義さえ曖昧なままに消滅しましたよね?しかも、地域によって算定していいかダメかの判断もバラバラだった・・・。
役人に一言言いたい。
「もっと最初によく考えてから、仕組みを構築しなさい!途中でコロコロ修正が必要なほど難しい問題じゃね~だろ~!もっと真面目に仕事しろ!!」
以上。
先ほど述べた様に、「あーでもない、こーでもない」と毎回、小手先の名称変更ならびに、定義の変更、ならびに点数の変更を行うんですが・・・。もっとシンプルに『調剤薬局基本料』(商標登録出願予定なし)という名称で包括的に算定するのが、最も合理的なんじゃないでしょうか?
今、ざっと技術料以外の部分の名称をざっと列挙すると『調剤基本料』、『基準調剤加算1、2、3』、『後発医薬品調剤体制加算1、2、3』『薬剤師服用歴管理指導料』ですか・・。
このうち、ほぼほぼ算定している『調剤基本料』、『薬剤師服用歴管理指導料』に関しては、『調剤薬局基本料』として100%算定にしたらどうですかね?
正直、患者さんによって、お薬の説明内容や濃さ、聞き取れる情報なんかはマチマチだけど、基本セットとして『調剤薬局基本料」として100%算定する。
内容としては、患者さんの薬歴を用意して、患者さんの症状やアレルギー歴や投薬した内容を経時的に記載。患者さんに必要事項を説明して、お薬の説明書とお薬手帳を渡す。以上、終わり。
たかだか40点(3割負担の患者さんなら120円、1割負担の患者さんならたった40円です)くらいのフィーでできることと言えば、それで目いっぱいでしょう。薬局の維持管理費用なんかも考慮すればそれでも十分安いと思いますけどね・・・。
あまりしゃべらない患者さんやDO処方で話すことが無い患者さんでもとにかく100%算定。お薬手帳自体は非常に有効なツールなので、患者の希望とは無関係に基本算定部分に組み込む。
これなら簡単でしょう?役人はいじりすぎ。
結局、今の投薬に関する指導料だって厳密には運用はできないでしょう?
あんなに細かく完全に患者さんに指導してたら、仮に患者さんが協力的に応対してくれてたしても、一人に30分くらい時間かかちゃう。全くもってナンセンス!!患者さんも薬剤師もみんな忙しんです。暇なのは役人だけです。
それに調剤薬局を経営していく上である程度、安定的に見込める適正な収入が必要なわけです。僕は『調剤薬局基本料』をその原資にするべきだと思うんです。
ディズニーランドを例に取りましょう。
入園料6200円に対して、その内訳がありますか?ひょっとしたら、待ち時間が長くてアトラクションひとつしか楽しめなかった人もいれば、いくつも楽しめた人もいるでしょう。
でも6200円は同じです。ディズニーランドに入場したら一律でかかる費用なんです。
「TDLの雰囲気だけ楽しみたいだけ、アトラクションは一切いらない、だから1800円にして~」とかはないんです。
僕の提唱する、薬局の『調剤薬局基本料』も同じです。
調剤薬局を利用したら必ずチャージされる入場料みたいな位置づけにしたらいいと思います。
ね?すごくシンプルでしょう?
変に○○指導料とか、細分化した定義を出す(しかもしょっちゅう変える)から、いい加減なテレビ番組で節約術として、「薬局では○○は自分で管理できます!と言えば30円安くなります」的な特集が組まれちゃうわけです。いまだに「お薬の説明書は要りません!そしたらちょっと安くなるんでしょう?」と給う、古い情報を鵜呑みにした哀れな患者さんがいるんですよ。
あれで迷惑するの現場ですからね。
僕の主張は薬局を利用して一通りのサービスを受けるということは、ディズニーランドに入場するのと同じ性質のものだということです。難しくしないで、シンプルにまるっとまとめてしまう。
どうですか~、皆さん。これを『調剤薬局の基本料はディズニーランドの入場料と一緒だ』理論と名づけましょう!!
あ~、また長くなってしまった・・。続きは次回。