いや~、なかなかスッキリしませんな~。
『厚生労働省は今月1日から、処方箋を出して薬局で薬をもらう保険調剤で、患者が支払う自己負担分に応じてもらえる調剤ポイントを原則禁止とした。 これに対し、ドラッグストア業界が猛反発。クレジットカードなどで支払った場合のポイントは容認されているためで、ドラッグストアの業界団体は、国の規制の無視を公に“宣言”するなど、異例の事態となっている。』(ニュースより抜粋)
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調剤ポイント付与問題については、以前から問題になっており、最終的に保険調剤の自己負担支払いに対するポイント付与は好ましくないという結論が出たのですが・・・。
ニュースで報道されたとおり、ドラッグストアでは依然としてポイントの付与が続いているようです。
さて、この調剤自己負担分に対するポイント制のどこに問題があるのか考えてみたいと思います。
ドラッグストア側の言い分:「保険調剤のポイント分は保険調剤の自己負担分には利用できないので問題ない。もし、これもダメならクレジットカード払いで付与されるポイントにも問題があるはず。よって不公正である」
政府側の言い分:「保険調剤の自己負担分のポイント付与は、健康保険法に定められた値引きにあたる。よって禁止。クレジットカードの問題については年度内を目処に検討する」
以上、だいぶすっきりしました。
この二つの対立意見のみを比較すると、個人的にはドラッグストア側の意見に分があると感じています。だって、正論ですからね。
僕はさらに視点を高くして、「保険調剤の自己負担分に対するクレジットカード支払い自体が健康保険法に定められた値引きにあたるのではないか?」と感じています。
というのは、各種クレジットカードで手数料は違うのですが、店側(薬局)は患者が支払った自己負担金の数パーセント(今仮に3%とします)をカード会社に支払います。
もちろん、これは患者さんが現金でなくクレジットカードを使用したいという便益に対して、薬局がその便益に対する金銭を授与しているのと同じ構造です。なぜなら、クレジットカード使用の手数料を薬局側が負担するからです。
そして、クレジットカード会社は薬局から受け取ったカード利用手数料の一部を患者にポイント付与します。おおよそ1%(100円=1ポイント制)くらいですね。
ここでも患者さんは、1%の便益(値引き)をクレジットカード会社から受けています。
患者が受け取る便益(値引き)の源泉はすべて薬局由来ですが、結果的に患者はクレジットカード手数料負担便益3%とポイント付与便益1%=合計4%の便益(値引き)を手にすることになります。
さて、ここで最初のお題に戻ります。
「保険調剤の自己負担分に対するクレジットカード支払い自体が健康保険法に定められた値引きにあたるのではないか?」
僕は「そもそも現行の法律に基づけば、4%の便益(値引き)を発生させる保険調剤自己負担金のクレジットカード支払い自体に無理がある」と結論付けますね。
日本の法律はここ50年以上ほとんど変わっていません。枝葉の改正で誤魔化してしまうので、今回の様な矛盾が生じてしまう訳です。法律が作られた当時にクレジットカードなどの電子マネーの概念自体ありませんでした。最近では「航空会社のマイル」や「楽天ポイント」も仮想通貨として流通しています。電子マネーやIT特性を考慮したサイバー社会に準拠した法律の整備を早急に望みます。